パンデミックは乳児の発達に影響を及ぼす?

パンデミックは乳児の発達に影響を及ぼす?
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最盛期に生まれた赤ちゃんは、運動能力の発達と社会的発達の双方が、わずかではあるが有意に遅れている可能性のあることを、米コロンビア大学のDani Dumitriu氏らが報告した。米国がロックダウンを開始した2020年の春に妊娠第1期を迎えていた母親から生まれた子どもでは、特に発達が遅れるリスクの高いことが明らかになったという。この研究の詳細は、「JAMA Pediatrics」に1月4日掲載された。

この研究では、COVID-19 Mother Baby Outcomes Initiativeに登録され、生後6カ月時点で乳幼児の発達評価ツールであるASQ-3(Ages and Stages Questionnaire, 3rd Edition)での評価を完了した255人の乳児が追跡された。これらの乳児は、2020年3月から12月の間に生まれ、114人は母親の新型コロナウイルス感染により胎内でウイルスに曝露し(曝露群)、残りの141人はウイルスに曝露していなかった(非曝露群)。また、COVID-19パンデミック発生前の2017年11月から2020年1月の間に生まれた62人を歴史的コホートとした。

分析の結果、曝露群と非曝露群との間で、ASQ-3のいずれのサブドメインのスコアについても有意な差は認められなかった。しかし、パンデミック中に生まれた乳児はパンデミック前に生まれた乳児と比べて、立ったり座ったりバランスを取ったりなどの粗大運動を行う能力、細かい運動を行う能力、および個人・社会的スキルのスコアが有意に低いことが明らかになった。また、ロックダウン中に妊娠第1期であった母親から生まれた乳児は、その時点で妊娠第2期または第3期を迎えていた母親から生まれた乳児よりも、全てのASQ-3サブドメインのスコアが低かった。

こうした結果を受けてDumitriu氏は、「今回の研究では、パンデミック前に生まれた乳児とパンデミック中に生まれた乳児との間でASQ-3の平均スコアには有意差が認められたものの、その差は大きなものではなかったと認識することが重要だ。発達が順調ではないと判断された乳児はそれほど多くはなかった」と話している。同氏はまた、妊娠中の母親の新型コロナウイルスへの感染が、乳児の発達の遅れに影響を及ぼす可能性は低い点を朗報として伝えている。

Dumitriu氏は、一部の乳児で発達の遅れが見られたのは、パンデミックに伴うロックダウンにより生じたストレスが原因であると推察する。ストレスを感じると、人間の体は多くのさまざまなホルモンや免疫系の化学物質を放出する。それが胎児にまで達する可能性があるのだという。同氏はさらに、「ストレスを感じるタイミングが妊娠期の早期であればあるほど、それが発達過程を通して影響を及ぼす可能性が高まる」と説明する。

その一方でDumitriu氏は、「生後6カ月という月齢は、長期的な結果を予測するには不十分だ」と指摘し、今回の研究で発達の遅れが認められた乳児も、最終的には健全な発達を遂げる可能性が高いとの見方を示している。それでも同氏は、「ただし、今回の研究対象者を継続して調査する必要性は確実にある。われわれは、今後も対象者を注意深く見守り続け、必要に応じて介入する準備をしておく必要がある」と付け加えている。

Dumitriu氏は、「パンデミックが新生児の発育に影響を与えるのではないかと心配な親は、時間が許す限り子どもと話し、歌を歌い、ふれあうことが大切だ」と主張する。同氏はさらに、「親は、家の中ではマスクを着用しないことも重要だ。そうすることで、赤ちゃんは、家族の顔全体を見ることができるからだ。赤ちゃんは、対面で過ごす時間が長いほど、社会的機能、言語、感情調節を学ぶことができる」と話している。(HealthDay News 2022年1月4日)

https://consumer.healthday.com/1-4-is-the-pandemic...

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