Acquire the license to the best health content in the world
Contact Us

鉄分不足は心血管疾患の発症リスクを高める?

鉄分不足は心血管疾患の発症リスクを高める?
Adobe Stock

鉄分は健康維持に必須の栄養素だが、食事からの鉄分摂取量が不足すると、心筋梗塞などの心血管疾患を発症しやすくなる可能性のあることが、ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター(ドイツ)のBenedikt Schrage氏らによる研究で示唆された。この研究結果は、「ESC Heart Failure」に10月5日発表された。

米国赤十字社によると、鉄分が豊富に含まれている食品には、肉や卵、マグロやホタテ貝、エビなどの魚介類、ホウレン草やサツマイモなどの野菜、豆類などがある。鉄分不足の人は通常、食事からのミネラル摂取量が不十分であるか、摂取した鉄をうまく処理できないかのどちらかだという。Schrage氏は、「消化管から鉄分をうまく吸収できない人もいる。その場合には、鉄剤の静注療法が選択肢の一つになる」と説明する。

これまでにも、鉄欠乏状態の心血管疾患の患者は、入院または死亡のリスクが高いことを示した研究結果が報告されている。また、鉄欠乏状態の心不全患者に対して鉄剤の静注療法を行ったところ、症状や機能、QOLが改善したとの報告もあるという。

今回、Schrage氏らは、鉄欠乏と心血管疾患および死亡との関連について検討するため、ヨーロッパの男女1万2,164人(男性45.2%)のデータを解析した。解析対象者の年齢中央値は59歳で、追跡期間は中央値で13.3年間だった。

その結果、解析対象者の約3分の2(64.3%)が機能的鉄欠乏の状態にあることが明らかになった。機能的鉄欠乏とは、体内の鉄分の量が、造血のために必要な量に満たない状態を指し、鉄補充療法の対象となる。

また、機能的鉄欠乏の状態にある人は、その後13年間での心血管疾患の発症リスクや死亡リスクが高いことも判明した。例えば、機能的鉄欠乏のある人は、鉄欠乏のない人と比べて、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患を発症するリスクが24%、冠動脈疾患を含めた心血管疾患による死亡リスクが26%、全死亡リスクが12%、それぞれ高いことが明らかになった。また、10年間での全死亡例の5%、心血管疾患による死亡例の12%、冠動脈疾患の新規発症例の11%が、機能的鉄欠乏の影響によるものと推定された。

Schrage氏は、「われわれの研究結果は、鉄分の不足が一般の人々の心血管疾患予防対策における適切なターゲットとなり得ることを示したものだ。また、機能的鉄欠乏の状態にある人たちに対する鉄分補充の有効性を検証する臨床試験実施の妥当性を裏付ける結果でもある」と話している。

ただし、今回の研究は観察研究であり、鉄欠乏と心血管疾患の因果関係が明らかになったわけではない。

この研究には関与していない、米アーマンソンUCLA心筋症センターのGregg Fonarow氏は、鉄分と心血管疾患の関連についてはさまざまなエビデンスがあることを指摘。「鉄分が不足している心不全患者に対して鉄剤の静注療法が有効であったとする臨床試験のエビデンスがある一方で、心不全患者が鉄分を経口摂取することを支持するデータはない」としている。また同氏は、「鉄分は欠乏していても過剰であっても冠動脈疾患のリスク上昇に関連することが指摘されている」と話し、「心血管疾患予防を目的に、鉄分の摂取量を増やすべきではない」との見解を示している。(HealthDay News 2021年10月6日)

https://consumer.healthday.com/10-6-could-too-litt...


Consumer Japanese