ステント留置後の抗血栓療法、長期継続は不要な可能性も

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心筋梗塞などの冠動脈が詰まって起こる疾患の治療でステントを留置した患者は、通常、術後にステントが原因で発症する血栓症(ステント血栓症)を予防するために、1年以上にわたって2種類の抗血小板薬を併用する抗血栓療法(DAPT)を受ける。ステント血栓症は心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性があるからだ。こうした中、米マサチューセッツ総合病院のNeel Butala氏らの研究から、一部の患者ではステント留置後のDAPTの期間をこれまで必要と考えられていた期間よりも短縮できる可能性のあることが明らかになった。この研究結果は、「Circulation」で11月8日発表された。

Butala氏によると、現行の診療ガイドラインでは、冠動脈にステントを留置した患者のほとんどに対し、ステント血栓症予防のために、アスピリンともう一種類の抗血小板薬による2剤併用療法を1年以上にわたって継続することが推奨されている。しかし、こうしたガイドラインでの推奨は、2014年に報告された1件の臨床試験(DAPT試験)のデータに基づいている。そのためButala氏らは、ステントの技術が向上した現在では、多くの患者で長期にわたるDAPTは不要なのではないかと考えた。同氏によると現在では、構造的に血栓ができにくく、改良された徐放性の薬剤でコーティングされた第二世代の薬剤溶出性ステント(DES)が多くの患者で使用されているという。

この仮説を検証するため、Butala氏らはDAPT試験に参加した8,864人の患者のデータを収集し、同試験の参加者と同様の心疾患を持つ、2016~2017年にNCDR(National Cardiovascular Data Registry)CathPCIレジストリに登録された患者56万8,540人と比較した。その結果、レジストリ登録患者では臨床試験参加者と比べて、第二世代のDESの留置例が多いことが判明した(100%対58.3%)。また、レジストリ登録患者では、心筋梗塞に対する治療としてステント留置術を受けている割合が高かったのに対して、臨床試験の参加者では狭心症の治療のためにステント留置術を受けている割合が高かった。

レジストリ登録患者の特徴を臨床試験の結果に反映させるために再重み付けを行ったところ、DAPTを長期間(30カ月間)にわたって継続した患者では、より短期間(12カ月間)で終了した患者と比べて、ステント血栓症や心筋梗塞、脳卒中の有意な予防効果は消失していたが、出血リスクの増大が認められた。

この研究には関与していない、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のRoxana Mehran氏は、「これらの結果は、ステント留置患者に対する抗血栓療法の期間について循環器医に再考を迫るものだ」と指摘。また、「治療の個別化やリスクとベネフィットのバランスを踏まえた意思決定を、患者と共に行うことなどが必要だ」との見解を示している。

ただし、抗血栓療法が完全に不要であるかといえばそうではない。Butala氏は、「新しいタイプのステントを用いたより最近の臨床試験の結果が数多く報告されている。これらの試験では、12カ月未満、例えば6カ月あるいは1カ月といった短い期間のDAPTでも、長期間のDAPTに対して非劣性が示されている」と説明し、3~6カ月程度のDAPTの継続は必要ではないかとの見解を示している。また、サイズが小さいステントを留置した患者や喫煙者、糖尿病や心筋梗塞の既往歴、高血圧、うっ血性心不全、腎臓病のある患者など一部の患者では長期の抗血栓療法が必要となる可能性が高いとしている。(HealthDay News 2021年11月23日)

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