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1964年の東京五輪に参加した元選手にはサルコペニアが少ない

1964年の東京五輪に参加した元選手にはサルコペニアが少ない

前回の東京オリンピックに参加した元選手は、サルコペニアの有病率が低いことが明らかになった。特に、運動強度の高い競技に参加していたり、引退後にも運動を続けていた元選手は、有病率が顕著に低いという。ただし、身体機能が低下している人の割合は、一般住民よりも元選手の方が高いとのことだ。東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センターの飯島勝矢氏らが報告した。

サルコペニアとは、加齢や疾患のために筋肉量や筋力が低下した状態のこと。転倒や骨折などのリスクが高く、要介護につながりやすい。若いうちに筋肉量を高めておくことが、サルコペニアの予防につながる可能性があるものの詳しくは不明。このような背景から飯島氏らは、東京五輪に参加した元選手と一般住民とで、サルコペニアの有病率に差があるかを比較検討した。結果の詳細は、「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に1月18日掲載された。

東京五輪に参加した元選手に対しては、現在も健康状態を継続的に把握する調査が続けられている。飯島氏らは、その第13回調査(2016年実施)の参加者101人(平均年齢75.0±4.4歳、女性が26%)のデータを解析に利用した。比較対照群は、千葉県柏市の一般住民対象前向きコホート研究の参加者1,526人(74.1±5.5歳、女性が49%)とした。

サルコペニアを2019年のアジアワーキンググループの基準(骨格筋量が生体インピーダンス法で男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満、握力が男性28kg未満、女性18kg未満、歩行速度1.0m/秒未満)に準拠して判定した。その結果、元五輪選手はサルコペニアが有意に少ないことが分かった。

具体的には、一般住民のサルコペニア有病率が男性8.9%、女性7.8%であるのに対して、元五輪選手は男性4.1%、女性4.0%であり、男性・女性ともに有意差が認められた。サルコペニア発症に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、疾患既往歴、飲酒・喫煙・運動習慣など)で調整後、元五輪選手がサルコペニアである確率は、一般住民の半分以下だった(調整オッズ比0.49、95%信頼区間0.20~0.94)。ただし性別の解析では、女性は非有意だった。

元五輪選手で認められたサルコペニア有病率の低さは、運動強度の高い競技種目に参加していた元選手や、競技生活引退後も運動を続けていた元選手で、より顕著に認められた。また、元五輪選手は男性・女性ともに一般住民よりも、骨格筋量指数(Skeletal Muscle Mass Index;SMI)が高く握力も強かった。

その一方で、歩行速度や開眼片足立ちで評価した身体機能は、元五輪選手よりも一般住民の方が有意に優れていた。また筋骨格痛(肩や腕、腰などの痛み)は元五輪選手の方が強く自覚していた。身体機能の低下と筋骨格痛は、コンタクトスポーツ(選手同士の身体の接触が多い競技)に参加していた元選手で、より多く認められた。

これら一連の結果を基に著者らは、「前回の東京五輪に参加した元選手は、筋肉量が多く筋力が強くてサルコペニアが少ないが、身体機能が低下していて筋骨格痛の訴えが多かった」と結論付けている。また考察として、「スポーツなどによって、若年期に筋肉量と筋力を増大させることは重要だが、けがなどにより運動機能を低下させないことも、高齢期の健康にとって大切なポイントだ」と述べている。(HealthDay News 2021年3月15日)

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