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がん治療ワクチン、複数のがん種で有望性示す

Marc Baum
Ryan, Lynda, Marc & Evan Baum

米カリフォルニア州サンノゼ在住のMarc Baumさん(57歳)は、膀胱がん治療のため数回の手術と放射線治療、化学療法を受けた。これらの治療は3カ月間で終了したが、担当医たちはさらに、がん再発の予防を期待できる実験段階にあるワクチンの投与を希望した。

このワクチンは、遺伝子工学の技術を用いて、患者の体内の免疫システムにがんだけを標的として作用するように作られている。このほど、その安全性と忍容性が早期臨床試験で証明されたことを、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学ティッシュがん研究所のThomas Marron氏が、米国がん研究協会年次総会(AACR 2021、4月10~15日、オンライン開催)で発表した。

最大限のがん治療を行っても、画像検査では確認することのできない微小ながん細胞が残ってしまう可能性がある。がんに再発が多いのはそのためである。そこで、残ったがん細胞を見つけて死滅させるために、免疫システムを利用する治療法が検討されてきた。しかし免疫療法には、増強した免疫システムが、がん細胞だけでなく正常な細胞まで傷つけてしまうという副作用の危険性もある。

こうした中、研究者らは、個々のがん患者の腫瘍組織と健康な組織についての詳細な遺伝子解析とHLA(ヒト白血球抗原)型の解析を行った。次に、コンピューターを使ってがん細胞でのみ発現している変異ペプチド(ネオアンチゲン)を特定した。これらの情報に基づき、患者のHLA型に特異的なネオアンチゲンを組み込んだオーダーメイドのワクチンを作製した。

臨床試験には、膀胱がんのBaum氏の他に、多発性骨髄腫や乳がん、肺がん、頭頸部がんなどの患者、計15人が参加した。全ての患者は、固形がんの場合には根治目的の外科手術、多発性骨髄腫の場合には自家幹細胞移植を受けていた。このうちの13人に7回以上(最大10回)にわたり、個々の患者に合わせて作製された個別化ワクチンが免疫賦活剤とともに投与された。

その結果、追跡期間中央値925日の間に、多発性骨髄腫、肺がん、乳がん、尿路上皮がんの4人は無病生存状態を達成し、4人は新たにがん治療を開始し、4人が死亡、1人は追跡中に連絡が取れなくなった。手術または自家造血幹細胞移植からの無増悪生存期間の中央値は618日だった。個別化ワクチンは忍容性も高く、およそ3分の1の患者に軽度の注射部位反応が現れた程度だった。

得られた結果についてMarron氏は、「今回の研究で、免疫を司る白血球の一部であるT細胞の数が、徐々に増加していることを確認できた。これは、患者の免疫システムが徐々に指示通りに反応するようになったことを示すデータである」と話している。ただし、がん細胞と正常な細胞は極めてよく似ているため、免疫システムがそれらの違いを認識できるようになるまでには、10回のワクチン接種が必要だという。同氏は、「6回の接種後には変化はほとんど認められなかったが、6カ月間をかけて10回接種した後には免疫システムによる抗がん反応が確認された」と振り返っている。

またMarron氏は、「この試験ではワクチン接種によって免疫システムの反応が促されることが確認された。しかし、浮遊しているがん細胞を死滅させられるかどうかについては、より大規模な臨床試験で検討する必要がある」としている。また、同氏によると、既にこの技術を用いて、脳腫瘍と膀胱がんの患者を対象にした2件の臨床試験が進行中であるという。

なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2021年4月13日)

https://consumer.healthday.com/4-12-therapeutic-ca...

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