See What HealthDay Can Do For You
Contact Us

特定の降圧薬は記憶力の低下を緩やかにする?

Limehealth

特定の種類の降圧薬を使用している高齢の高血圧患者は、年齢を重ねても記憶力が維持されやすいことが、米カリフォルニア大学アーバイン校のDaniel Nation氏らによる研究で示唆された。この研究結果は、「Hypertension」に6月21日発表された。

高血圧は認知機能の低下や認知症のリスク因子の一つとして確立されている。これに対して、厳格な血圧コントロールが、加齢に伴う記憶力や思考力の低下などの認知機能障害のリスクを低減するというエビデンスがある。例えば、2018年に報告されたSPRINT-MINDと呼ばれる臨床試験では、収縮期血圧を120mmHg以下に抑える厳格な血圧コントロールを行うと、標準的な血圧管理を行った場合と比べ、高齢の高血圧患者の軽度認知障害(MCI)リスクが19%低下することが示されている。

また、過去の研究では、主要な降圧薬であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が、長期的に見ると認知機能に極めて大きなベネフィットをもたらす可能性のあることが報告されている。さらにACE阻害薬とARBの中でも、脳内の血液脳関門(血液から脳組織への物質の移行を制限する機構)を通過するものが、通過しないものよりも認知症リスク低下との関連が強いことを報告する研究もわずかではあるが存在する。

そこでNation氏らは、ACE阻害薬、またはARBを使用している50歳以上の高血圧患者を対象とした14件の研究のデータを集めて、血液脳関門を通過する降圧薬が認知機能にもたらすベネフィットを、血液脳関門を通過しない降圧薬との比較で評価した。対象とした14件の研究は、米国、オーストラリア、カナダ、アイルランド、ドイツ、日本の6カ国で実施されたもので、対象者の総計は1万2,894人、主な年齢層は60~70歳代だった。認知機能に関しては、年齢、性別、教育レベルで調整した共分散分析とメタ分析を使用して、7つの認知領域(注意力、実行機能、言語力、言語記憶学習、想起、精神状態、処理速度)について分析した。

分析の結果、血液脳関門を通過する降圧薬を使用していた患者では、最長で3年間の追跡期間における記憶力の低下が緩やかだった。血液脳関門を通過する高圧薬とは、ACE阻害薬のカプトプリル、フォシノプリル(fosinopril、日本国内未承認)、リシノプリル、ペリンドプリル、ラミプリル(ramipril、日本国内未承認)、トランドラプリル、ARBのテルミサルタンとカンデサルタンである。この結果についてNation氏は、血液脳関門を通過する降圧薬には血圧を低下させる作用だけでなく、"追加のベネフィット"を期待できる可能性があるとし、「この効果は、血圧コントロールとは独立したものだと考えられる」と話している。

その一方で、注意力に関しては、血液脳関門を通過しない降圧薬を使用していた患者の方が優れていた。この結果はNation氏らにとっても驚きであったが、「記憶力とは違って、注意力というのはストレスや気分に左右されやすい」として、そのことが影響した可能性を示唆している。

今回の研究報告を受け、米バージニア大学のRobert Carey氏は、「特定の降圧薬は、記憶力低下に対する優れた抑制作用を持つのかという疑問に対し、最終的な答えが得られたわけではない。今後も引き続き研究が必要だ」と指摘している。Nation氏も、血液脳関門を通過する薬剤の使用が認知症リスクの低下をもたらすのかどうかに関しては、「まだ明らかになっていない」としている。

いずれにしても、現時点で最も重要なのは、各種降圧薬による治療や食事の是正、運動、禁煙など、あらゆる手段で血圧をコントロールすることだとCarey氏は強調。「血圧コントロールが認知機能に重要な影響をもたらすことは明らかだ」と話している。(HealthDay News 2021年6月21日)

https://consumer.healthday.com/6-21-your-blood-pre...

Consumer Japanese
undefined
undefinedundefined