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女性と比べて男性の寿命が短い理由の解明につながる研究結果がこのほど明らかになった。日本、米国、スウェーデンなどの国際共同研究グループは、加齢に伴い血液細胞からY染色体が喪失している男性において、心臓組織の線維化や心不全が起こりやすい可能性があることを示した研究結果を、「Science」7月14日号に発表した。

Y染色体は性染色体の1つで、女性にはX染色体が2つ、男性にはX染色体とY染色体が1つずつあることは多くの人々が知っている。Y染色体には、男性の特性を決定する以外に多くの役割はないと考えられてきた。しかし、近年の研究から、Y染色体には考えられていたよりも多くの遺伝子が含まれていることが明らかになってきた。また、Y染色体の喪失がさまざまな疾患のリスクに関連していることを示した研究結果も報告されている。

加齢に伴い一部の血液細胞からY染色体が失われる現象は、後天的Y染色体喪失(mosaic loss of chromosome Y:mLOY)と呼ばれる。mLOYが起こる原因については十分に解明されていないが、それが老化に関連していることが先行研究で示されており、70歳の男性の40%、93歳の男性の57%にmLOYが起きていると推定されている。

Y染色体の喪失は、正常な老化の過程の一部に過ぎないと考えられていた時期もあった。しかし近年、mLOYはアルツハイマー病や心臓病、特定の種類のがんといった疾患のリスク上昇や、寿命短縮のリスクに関連していることを示した研究結果が報告されていた。ただ、これらの研究では、mLOYがこうした疾患の直接的な原因なのか、あるいは身体機能に何らかの不具合が生じていることを示しているに過ぎないのかについて明らかにすることはできていなかった。

今回の研究論文の上席著者で、米バージニア大学血液血管生物学センターのKenneth Walsh氏は、「問題は、Y染色体の喪失は白髪のように、ただの加齢マーカーの一つに過ぎないのかということだ」と疑問を呈する。

Walsh氏らのグループは今回、英国の大規模バイオバンク研究(UKバイオバンク)の参加者約50万人のデータを分析。その結果、mLOYの割合が1%増加するごとに、心血管疾患による死亡率が1.0054倍増加することが分かった。mLOYの割合が40%を超えていた男性では、心血管疾患による死亡率は1.31倍に達していた。心血管疾患の種類別では、高血圧性心疾患の3.48倍、心不全の1.76倍、大動脈瘤とその解離の2.76倍だった。

次に、mLOYによる直接的な影響について調べるために、CRISPR/Cas9システムという遺伝子編集の技術を用いて、多くの血液細胞でY染色体を喪失しているマウスを作製した。その結果、老齢のマウスにおいて、mLOYは加齢に伴う心臓の構造や機能の変化を加速させ、心臓や肺、腎臓の線維化を促すことが示された。また、mLOYによって既にある心不全がさらに悪化することも実験で確認された。

今回の研究には関与していない専門家の一人は、Walsh氏らの報告をきっかけに、これまであまり注目されていなかったmLOYという現象への関心が高まるのではないかとの見方を示している。米ファインスタイン医学研究所のKim Simpfendorfer氏は、「この研究結果は、一般的な加齢性疾患の新たな治療法の開発につながる可能性がある。また、mLOYをさまざまな疾患のリスクのマーカーとして用いたスクリーニングを行うことも可能になるかもしれない」と述べている。

なお、Walsh氏によると、Y染色体の喪失は男性よりも女性の方が長生きである理由の一つかもしれないという。同氏は、「寿命の長さに男女差が生じる理由には、若い男性の事故死の多さなどがあるが、それだけでは寿命の男女差の全てを説明できない。男性は生物学的に老化のスピードが速いように思われる」と述べている。(HealthDay News 2022年7月14日)

https://consumer.healthday.com/7-14-geneticists-find-clue-to-men-s-shorter-life-spans-2657646760.html

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