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移動式脳卒中ユニットが患者の転帰を改善

Baker
UTHealth Houston Mobile Stroke Unit Credit: Nash Baker for UTHealth Houston

移動式脳卒中ユニット(MSU)で脳卒中を発症した患者に迅速に血栓溶解療法を開始することにより、その後の障害を減らせることを示した研究結果が明らかになった。この研究は米メモリアル・ハーマン‐テキサス医療センターのJames Grotta氏らが実施したもので、詳細は「The New England Journal of Medicine」9月9日号に発表された。

MSUは、画像検査装置を搭載した、脳卒中に特化した救急車両で、同乗する専門スタッフが病院に到着する前に車内で脳卒中の診断と治療を開始することができる。脳卒中発症後の麻痺や言語障害といった障害を予防するには、発症後4.5時間以内に血栓溶解薬である組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)を静脈内投与(t-PA静注療法)することが有効だ。t-PA静注療法は、開始が早ければ早いほど転帰も良好になる。

この研究では、脳卒中発症後にテキサス大学ヒューストン医療科学センター(UTHealth)のMSUで治療を受けた患者(MSU群)と、通常の救急医療サービス(EMS)で病院に搬送されてから治療を受けた患者(EMS群)との間の、脳卒中発症後4.5時間での転帰の違いが比較された。また、t-PA静注療法適応患者の脳卒中発症から90日後の生活自立度を、実用性で重み付けしたmodified Rankin Scaleのスコア(以下、重み付けmRSスコア)で評価した(0〜1点、高スコアほど転帰が良好)。mRSスコアは、脳血管障害や神経疾患などの重症度を評価するための尺度で、高スコアほど障害度が大きい(0〜6点、0点=まったく症候がない、1点=症候はあっても明らかな障害はない、6点=死亡)。

研究期間である2014年から2020年の間に、1,515人が対象者として登録された(MSU群886人、EMS群629人)。このうち、t-PA静注療法の適応と判定された患者は1,047人で、発症から4.5時間以内に実際に同療法を受けた患者の割合は、MSU群の97.1%に対して、EMS群では79.5%と、MSU群の方が高かった。また、脳卒中の発症からt-PA静注療法開始までの時間(中央値)は、EMS群の108分に対してMSU群では72分と36分短かった。

t-PA静注療法を受けた患者の90日後の重み付けmRSスコアは、MSU群で0.72点、EMS群で0.66点であり、MSU群の方が高かった。また、t-PA静注療法を受けた患者のうち、mRSスコアが0点または1点であった患者の割合は、EMS群での44%に対してMSU群では55%と、MSU群の方が高かった。

Grotta氏は、「MSUを利用することで、脳卒中の治療を受けられる患者の数が増え、治療開始のタイミングも早まった。何より重要なのは、EMSによる通常の管理により救急外来で治療が開始された脳卒中患者と比べると、麻痺や言語障害、知的障害といった脳卒中後の転帰が優れていたことだ」と話している。

この研究では、脳卒中発症後1時間以内にt-PA静注療法が開始された患者の割合は、EMS群(2.6%)よりもMSU群(32.9%)の方が高かった。Grotta氏によると、発症後1時間以内にt-PA静注療法が開始された脳卒中患者の最大70%は、障害が残ることなく回復するという。「脳細胞は、血液や血液によって運ばれる酸素の供給が途絶えると数分以内に死んでしまう。よって、閉塞していた動脈をできるだけ早く再開通させることが、治療を成功に導く鍵だと言える」と同氏は説明する。

一方でMSUには、ランニングコストの高さという課題がある。Grotta氏によると、MSU1台当たりの購入費用は約100万ドル(1ドル110円換算で約1億1000万円)、運用費用は年間約50万ドル(約5500万円)に上る。それでも同氏は、「MSUは高額ではあるが、人々の命を救う。また、障害に対する長期ケアの必要性が低下するため、医療システムの費用負担も軽減される」とその利点を強調している。(HealthDay News 2021年9月9日)

https://consumer.healthday.com/9-9-time-is-brain-m...

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