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父親の精子から子どもの自閉症リスクを予測

父親の精子から子どもの自閉症リスクを予測

父親の精子の中に、子どもの自閉症スペクトラム障害(以下、自閉症)のバイオマーカーとなり得るDNAメチル化可変領域を見つけたとする研究結果を、米ワシントン州立大学のMichael Skinner氏らが発表した。このバイオマーカーを調べることで、自閉症の子どもが生まれるリスクのある男性を特定できる可能性があるという。研究の詳細は、「Clinical Epigenetics」に1月7日掲載された。

今回の研究でSkinner氏らは、自閉症の子どもを持つ男性13人と、自閉症のない子どもを持つ男性13人から集めた精子検体を用いて、エピジェネティクス(DNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現を制御する仕組み)、特に、DNAメチル化可変領域に焦点を当てて調べた。DNAメチル化とは、DNA中の塩基の一つにメチル基が付加される化学反応で、遺伝子発現のオン/オフを切り替える働きを持つ。DNAメチル化のレベルが個体間で異なる領域などをDNAメチル化可変領域という。

その結果、自閉症の子どもを持つ父親の精子のDNAに、DNAメチル化可変領域が805カ所みつかり(303カ所ではメチル化増加、502カ所ではメチル化減少)、これらが自閉症の子どもが生まれる可能性が高いことを示すバイオマーカーとなり得ることが明らかになった。

そこでSkinner氏らは、このメチル化可変領域をバイオマーカーとして、精子のサンプルデータだけで、自閉症の子を持つ男性と持たない男性を特定できるかを検証した。18人から採取した精子を用いた2回のブラインドテストの結果は、2例の偽陽性を除き、全て正しく特定され、正確度は90%であったという。

Skinner氏は、「これらのDNAメチル化可変領域をバイオマーカーとして用いることで、父親からその子に自閉症が遺伝するかどうかを評価できる可能性が見えてきた。どの因子が自閉症を促進するかを特定する上でも、大きな一歩だ」と述べている。

とはいえ、Skinner氏らによると、この方法を臨床で利用できるようになるまでには、さらに研究を重ねる必要があるという。研究チームは現在、男性100人を対象に、さらに大規模な研究を実施している。Skinner氏は、「われわれは以前、環境因子により生殖細胞系列、精子や卵子、エピジェネティクスが変化し得ることを明らかにしている。今回の研究で確認されたこの方法を用いて大規模な集団ベースの研究を実施すれば、こうした変化を誘発する環境因子を突き止められるかもしれない」との見通しを示している。

なお、米疾病対策センター(CDC)によると、米国で1975年に自閉症と診断されたのは5,000人に1人であったが、2020年は54人に1人となっている。診断率の向上や自閉症に対する認識の高まりも急増の原因の1つだが、環境因子や分子的因子も大きく関わっていると、多くの研究者は考えている。これまでの研究では、自閉症が親から子へ遺伝することがあり、母親よりも父親から受け継がれやすいことが示されているという。(HealthDay News 2021年1月14日)

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