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網膜疾患での失明に移植治療の光

網膜疾患での失明に移植治療の光

網膜の病気による視覚障害に対する移植治療の研究が、新たなステップに到達した。亡くなった人の網膜色素上皮幹細胞を、非ヒト霊長類の眼に移植したところ3カ月間定着し、安全性の懸念も生じなかったという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のTimothy Blenkinsop氏らの研究によるもので、詳細は「Stem Cell Reports」に1月14日掲載された。

Blenkinsop氏らはこの研究に、69歳と81歳で亡くなった成人のヒト網膜色素上皮幹細胞を用いた。網膜色素上皮は網膜の一番下に位置する層のこと。感覚網膜(光を感じ取る細胞のある層)を支えたり、網膜のさらに下にある脈絡膜から網膜へ栄養を取り入れたり、網膜内の過剰な水分を脈絡膜側へ送る役割などを果たしている。この網膜色素上皮が正常に働かなくなることが、近年増加している加齢黄斑変性など、失明につながる網膜疾患の主要原因の一つと考えられている。

網膜疾患に対する移植治療の方法としてこれまでに、網膜色素上皮細胞の懸濁液を眼球内に投与する方法が動物実験で試みられている。しかし、細胞が定着しにくいこと、および、硝子体(眼球内部の大半を占めているゲル状の組織)内での細胞増殖をコントロールできなくなるリスクが存在していた。一方、ヒト網膜色素上皮の幹細胞をウサギの網膜に移植した研究では、移植後少なくとも1カ月間は定着することが報告されている。今回の研究は、よりヒトに近い霊長類であるカニクイザルの網膜への移植が試みられた。

カニクイザルの黄斑(眼底の中央に位置し、視力にとって最も重要な部分)の下にヒト網膜色素上皮幹細胞を移植したところ、3カ月間は免疫による排除を受けることなく定着することが確認された。また、感覚網膜への悪影響や、がん化につながる可能性のある上皮間葉転移などの重篤な有害事象は認められなかった。

この結果についてBlenkinsop氏は、「ヒト成人ドナーの網膜色素上皮幹細胞を非ヒト霊長類の黄斑へ安全に移植でき、移植された細胞が少なくとも黄斑機能の一部を代替して機能することが示された」とし、「ヒトでの臨床試験を後押しする知見だ」と期待を述べている。

ただし、動物実験で得られた結果がヒトでは異なる結果になることも少なくない。著者らは、「網膜色素上皮幹細胞移植が黄斑変性疾患の治療に使える可能性はあるが、治療法として確立するには、疾患モデル動物での視機能を回復させ得るかの確認や、ヒトに行った場合の安全性の検証などのステップを踏まねばならず、さらなる研究が必要である」としている。(HealthDay News 2021年1月19日)

https://consumer.healthday.com/b-1-19-promising-st...

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