低線量CTスキャンでも虫垂炎の診断が可能

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CTスキャンは重篤な疾患の発見に有用である一方、患者が多量の放射線に被曝するという問題がある。このほど、低線量CTスキャンで患者の被曝量を低減しても虫垂炎を正しく診断できることが、新たな研究により示された。研究論文の筆頭著者でトゥルク大学(フィンランド)教授のPaulina Salminen氏は、「この結果は、虫垂炎に対する診断精度を損なうことなく、CTスキャンでの放射線量を大幅に低減できることを示唆するものだ」と述べている。研究の詳細は、「British Journal of Surgery」に11月11日掲載された。

急性虫垂炎は、入院の原因となることが非常に多い疾患の1つであり、虫垂切除術は世界で最もよく実施されている外科手術の1つでもある。しかし、虫垂炎は診断が困難なことが多く、それが手術の遅れや不必要な手術につながることもある。造影CTスキャンは急性虫垂炎の正確な診断に重要であるが、放射線被曝の問題がつきまとう。

そこでSalminen氏らは、急性虫垂炎の疑いでトゥルク大学病院の救急科に入院した16歳以上の患者856人に対して、低線量(454人)または標準線量(402人)でCTスキャンを実施し、両群での診断精度を比較した。

その結果、患者が急性虫垂炎であるかどうかを判定する精度は、低線量CTで98%、標準線量CTで98.5%であり、対象者をBMI 30未満に絞ると、前者で98.2%、後者で98.6%であることが明らかになった。合併症の有無を判別する精度は、低線量CTで90.3%、標準線量CTで87.6%、BMI 30未満の患者では、前者で89.8%、後者で88.4%であった。なお、放射線量の中央値は、低線量CTで3mSv、標準線量CTで7mSv、BMI 30未満の患者においては、前者で3mSv、後者で5mSvだった。

こうした結果を受けてSalminen氏らは、「この研究結果から、低線量CTと標準線量CTの診断精度は、虫垂炎の発見においても、また、手術が必要な重症例と抗生物質のみで対処可能な軽症例との判別においても、差がないことが明らかになった」と結論付けている。

Salminen氏は、「この知見を受けて、救急科での急性虫垂炎に対する画像診断の際に、低線量CTを用いるケースが増えることが期待される。それにより、多くの患者で不要な放射線被曝を回避することができる」と期待を示している。なお、同氏らによると、現在では、合併症のない急性虫垂炎患者に対しては、必ずしも緊急手術を行う必要はないとされている。そのため、虫垂炎そのものの診断よりも、合併症の有無の判別の方が重視されるようになってきているという。(HealthDay News 2021年11月15日)

https://consumer.healthday.com/b-11-11-low-dose-ct...

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