免疫抑制薬の使用中でもコロナ重症化リスクは上昇しない

免疫抑制薬の使用中でもコロナ重症化リスクは上昇しない
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新型コロナウイルス(COVID-19)による入院患者が免疫抑制薬を使用している場合でも、免疫系が正常に機能している患者に比べて、重症化リスクは増大しないことが新たな研究で明らかにされた。この研究を実施した、米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のKathleen Andersen氏は、「免疫抑制薬を使用中の患者は、パンデミック中でも安全に同薬を継続使用できる」と述べている。この研究の詳細は、「The Lancet Rheumatology」に11月15日掲載された。

パンデミック初期には、免疫抑制薬を使用しているCOVID-19患者では、免疫系の働きが低下しているため、重症化リスクが高まるのではないかと懸念されていた。免疫抑制薬は、がんや自己免疫疾患の治療、移植による拒絶反応の予防などの目的で使用される。

Andersen氏らは、2020年1月1日から2021年6月11日の間にCOVID-19で入院した米国の成人22万2,575人(平均年齢59歳、男性50%)のデータを分析。このうちの7%(1万6,494人)が入院前から、リウマチ性疾患や臓器移植、がんなどを理由に免疫抑制薬を使用していた。これらの免疫抑制薬使用患者と、それらと傾向スコアをマッチさせた免疫抑制薬非使用者2万9,386人を対象に解析を行った。

その結果、免疫抑制薬使用群では非使用群に比べて、重症化の指標である侵襲的換気療法(人工呼吸器の装着)に至るリスクが低く(ハザード比0.89)、入院死亡リスクとの間に関連は認められなかった。また、免疫抑制薬を15種類のクラス別に検討した結果、いずれのクラスの薬剤でも、人工呼吸器装着リスクとの間に有意な関連は認められなかった。入院死亡に関しては、リウマチ性疾患やがんの患者が使用するリツキシマブについてのみ、死亡リスクの増大が認められた(ハザード比は、リウマチ性疾患患者で1.72、がん患者で2.57)。この結果を受けてAndersen氏は、「リツキシマブを使用している患者は医師に相談する方が良い。また、最低限でもCOVID-19を発症することがないよう感染対策を続けるべきだ。それとともに、これらの患者の周囲にいる人がワクチンを接種することも重要だ」と指摘している。

論文の上席著者である、同大学疫学教授のG. Caleb Alexander氏は、「免疫抑制薬はよく使用される薬剤であるため、この知見は心強く、かつ重要なものだ」と述べている。

この研究ではさらに、JAK阻害薬と呼ばれる比較的新しいクラスの免疫抑制薬の使用についても検討を行った。その結果、この免疫抑制薬を使用している患者では、COVID-19による入院中の死亡リスクが58%低いことも明らかになった。JAK阻害薬は、関節炎、炎症性腸疾患、その他の炎症性疾患に用いられるほか、最近では、バリシチニブなどのJAK阻害薬がCOVID-19の治療にも使用されているという。(HealthDay News 2020年11月22日)

https://consumer.healthday.com/b-11-22-people-on-i...

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