パンデミック時の大量飲酒で肝疾患増加の兆し

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、米国では人々がアルコール摂取量を増やした影響で、2040年までにアルコール関連肝疾患による死者が8,000人増加すると予測した論文が、「Hepatology」に12月8日掲載された。米マサチューセッツ総合病院のJagpreet Chhatwa氏らが報告した。

COVID-19は、多くの命を奪ってきた。COVID-19罹患による死亡だけでなく、パンデミック中に生活習慣の変更を強いられた人々への健康への影響も懸念されている。そのような間接的な影響の実態はまだ明確になっていないが、今後数年間で全体像が現れてくると考えられる。その一つとして、アルコール摂取量の増大に伴う肝疾患の増加が想定される。Chhatwa氏らの研究は、2020年のCOVID-19パンデミックの間に米国で見られたアルコール摂取量増大によってもたらされる、アルコール関連肝疾患(alcohol-related liver disease;ALD)、およびALD関連死の増加予測を試みたもの。

Chhatwa氏らは、1920~2012年に生まれた米国人のアルコール摂取量などの調査(national epidemiologic survey on alcohol and related conditions;NESARC)を基に、COVID-19パンデミック中の飲酒習慣の変化を報告した既報研究のシミュレーションモデルを援用。その既報研究では、パンデミック前の2020年2月から同年11月の間に、21歳以上の米国人のアルコール摂取量が平均29%増加し、大量飲酒者は21%増えていたことなどが把握されていた。

このようなアルコール摂取量の増加が1年間に及んだと仮定したデータ解析の結果、2023年までに米国内で2,800人(95%不確定区間2,700~2,900)が非代償性肝硬変になり、100人が死亡すると計算された。さらに、パンデミックによって増加したアルコール摂取量が元に戻らず長期間続く場合は、ALD関連死が19~35%増加すると見込まれ、2040年までのシミュレーションで8,000人(同7,500~8,600)の死亡が予測された。加えて、非代償性肝硬変は1万8,700人(同1万7,600~1万9,900)、肝細胞がんは1,000人(同1,000~1,100)の増加が見込まれるという。

また、疾病による障害や早期死亡のために失われる健康的な生活の損失の程度を表す、障害調整生命年(disability-adjusted life years;DALYs)は、890万DALYsに達すると計算された。なお、DALYsは数値が大きいほど疾病負担が大きいことを意味する指標。

米国では、COVID-19パンデミック以前から、ALDによる疾病負担が増大しており、パンデミックによるアルコール摂取量の増加が生じないと仮定しても、今後10年間で約26万人のALD関連死の発生が予測されていたという。また、ALD患者の大半は、病期が進行し代償性肝硬変に至っていても臨床的には安定しているものの、わずかなアルコール摂取が身体に深刻な影響を及ぼすことから、著者らはパンデミックに伴うアルコール摂取量の増加に懸念を表している。

論文の共著者の一人である米ジョージア工科大学のTurgay Ayer氏は、「COVID-19パンデミックは未知の長期的影響を含む、さまざまな思いもよらない結果をもたらしている。われわれの研究は、COVID-19に伴うアルコール摂取量の増加による将来への影響を定量化して示したものである。この結果は、アルコール摂取量を抑制するための介入戦略を探る上で、共通認識の基礎となるであろう」と述べている。(HealthDay News 2021年12月24日)

https://consumer.healthday.com/b-12-21-heavier-dri...

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