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高齢者は糖尿病予備群から糖尿病への進行が少ない

高齢者は糖尿病予備群から糖尿病への進行が少ない

前糖尿病(糖尿病予備群)であっても高齢者の場合、糖尿病発症リスクが必ずしも高いとは言えないとする研究結果が、「JAMA Internal Medicine」に2月8日掲載された。論文の上席著者である、米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のElizabeth Selvin氏は、「われわれの研究結果は、前糖尿病の高齢者が糖尿病を発症する確率は高くないことを示している。高齢者に関して言えば、前糖尿病という診断カテゴリーは、糖尿病発症高リスク者を特定するのに役立っていないようだ」と述べている。

前糖尿病は、血糖値が高いものの糖尿病と診断されるほどではない状態のことで、一般的に糖尿病予備群と呼ばれる。若年から中年期の成人の場合、前糖尿病から糖尿病に移行するリスクが高い。一方、今回の研究では、高齢者の前糖尿病に焦点を当てて糖尿病発症リスクが検討された。

研究対象は、一般住民のアテローム性動脈硬化症リスクに関する研究の参加者のうち、ベースライン時(2011~2013年)に糖尿病でなかった3,412人の高齢者(平均年齢75.6±5.2歳、女性が60%)。2016~2017年のフォローアップ検査に2,497人が参加。追跡期間5.0年(中央値)で、156人が糖尿病を発症していた。

前糖尿病をHbA1c5.7~6.4%で定義した場合、ベースライン時にこれに該当していた人のうち、糖尿病(HbA1c6.5%以上)に進行したのは9%だった。その一方でHbA1c5.7%未満に改善した人が13%いた。19%の人は死亡していた。

また、ベースライン時に空腹時血糖異常(100~125mg/dL)だった人のうち、糖尿病(空腹時血糖値126mg/dL以上)に進行したのは8%だった。一方、空腹時血糖値100mg/dL未満に改善した人が44%であり、16%は死亡していた。

他方、ベースライン時に糖代謝が正常レベルにあった人からも糖尿病発症が認められた。例えば、ベースライン時にHbA1cが5.7%未満だった人のうち、17%が前糖尿病(HbA1c5.7~6.4%)となり、3%が糖尿病(同6.5%以上)を発症していた。また、空腹時血糖値が100mg/dL未満だった人のうち、8%が空腹時血糖異常(100~125mg/dL)となり、3%は糖尿病(126mg/dL以上)を発症していた。

糖尿病では慢性的な高血糖によって、腎臓などの臓器が障害されるほか、免疫力が低下したり、心臓病や脳卒中なども起こりやすくなる。そのような健康障害につながる糖尿病になる前の段階で、リスクの高い人を見つけるために前糖尿病が定義され、スクリーニングが行われている。この施策についてSelvin氏は、「前糖尿病という定義付けは、若年や中年の成人の糖尿病リスクを評価する有用な手段である。ただし、それは高齢者には当てはまらない」と述べている。

また同氏は、「高齢者には軽度の高血糖が一般的に見られる。しかしその状態が糖尿病に進行するリスクは、よく分かっていない」と、高齢者の前糖尿病の臨床的意義が十分に検討されていない現状を指摘。その上で今回の結果をもとに、「医師は軽度高血糖を呈している高齢者に対して、健康的な生活習慣への改善・維持の指導とともに、喫煙や高血圧、脂質異常症などのより重要な危険因子に注意を向けるべきだ」と語っている。(HealthDay News 2021年2月10日)

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