See What HealthDay Can Do For You
Contact Us

留置後も成長する心臓の人工弁の作製に成功

留置後も成長する心臓の人工弁の作製に成功

心臓の弁を人工弁に取り換える手術(弁置換術)を受けた子どもが、成長の過程でうまく機能しなくなった弁を取り替えるための再手術を受けなくても済む日が来るかもしれない。米ミネソタ大学医用生体工学部のRobert Tranquillo氏らが作製した人工弁を子羊の体内に留置したところ、1年にわたって子羊の成長に伴い弁のサイズも大きくなっていたことが確認されたという。研究の詳細は、「Science Translational Medicine」3月17日号に発表された。

現在、心臓の弁に先天異常がある小児患者の治療で承認されているのは、化学的に処理された動物の組織から作られた弁のみだ。しかし、子どもの成長に合わせてこうした弁が成長することはない。また、主にカルシウム沈着により弁が機能しなくなることが多いため、新しい弁への置換術を繰り返し行う必要がある。

Tranquillo氏らは人工弁を作製するにあたり、まず、同氏らが以前に開発した特別な組織工学的手法を用いて、8週間かけて羊の皮膚細胞から人工血管を作製した。具体的には、フィブリンと呼ばれるゼラチン様の物質を皮膚細胞と組み合わせてチューブ状にし、細胞の成長に必要な栄養素を加えた。その後、特別な洗浄剤で細胞を洗い流して、体内に留置したときに免疫反応が起こらないようにした。その上で、このようにして作った3本のチューブを縫い合わせて弁尖を形作り、直径19mm程度の心臓の弁に似た構造に形を整えた。

Tranquillo氏は、「こうして人工弁ができあがったわけだが、問題は、この人工弁が本当の心臓の弁のように機能するのか、また成長するのか、の2点だった。結果として、そのどちらもが確認された」と述べている。

研究グループが、この人工弁を子羊の肺動脈に移植したところ、移植後52週目以降に機能低下が認められた。そのため、新たに作ったチューブで補強した第二世代の人工弁を作製し、これを3頭の子羊の肺動脈に留置した。その結果、性能向上が長期にわたって認められ、小児で一般的に使用されている生体弁よりも優れた性能を示した。また、移植後、弁の直径が19mmから羊の正常なサイズである25mmまで増加した。さらに、超音波画像から弁尖の長さが17~34%伸びていることも確認された。このほか、この人工弁では、他の人工弁移植で見られるようなカルシウム沈着や血栓形成がほとんど生じなかった。

Tranquillo氏は、「この研究成果は、小児心臓病の領域における研究を大きく前進させるものだ。こうした大型の動物モデルで――われわれの研究では子羊を用いたが、体の成長に伴い体内の弁も成長し得ることを、初めて示すことができた」と説明している。

この研究結果が人間にも当てはまるのかどうかについては、今後、検証する必要がある。動物を用いた研究と同じ結果が人間でも得られるとは限らないからだ。しかし、もし今回と同様の結果が得られれば、先天性心疾患の子どもたちに対して繰り返し行われる弁置換術を回避できるようになる可能性はある。こうした子どもたちは、成人後に機械弁を留置できるようになるまでに、5回以上の手術を受けているのが現状だ。

なお、今回検討された人工弁は6カ月間の保存が可能である。そのため、外科医にとっても小児の弁置換術に必要な組織へのアクセスが改善されることが期待される。

研究の次のステップは、最も高頻度に実施されている手術を模倣して、弁を右心室に直接的に留置することになるという。その上で、ヒトを対象とした臨床試験の実施について、米食品医薬品局(FDA)に承認を求めたいとしている。(HealthDay News 2021年3月22日)

https://consumer.healthday.com/b-3-19-lab-made-hea...

Consumer Japanese
undefined
undefinedundefined