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尿路感染症ワクチンが動物実験で実現に近づく

尿路感染症ワクチンが動物実験で実現に近づく

再発率の高い尿路感染症(UTI)を、ワクチンによって防げる日が来るかもしれない。マウスを用いた実験で、ワクチン接種により免疫系を再プログラミングしてUTIの原因となる大腸菌を除去し、再発を防ぐことができる可能性が示された。米デューク大学医学部病理学・免疫学・分子遺伝子学および微生物学教授のSoman Abraham氏らによるこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」に3月9日掲載された。

UTIは女性に頻発する疾患で、女性の半数が生涯に一度は罹患する。UTIは、再発率も非常に高い。Abraham氏は、「UTIは有病率が高いにもかかわらず、米国には今のところ、有効なUTIワクチンが開発されていない」と話す。これまでに臨床試験でいくつかのUTIワクチンが検討されてきたが、大きな成功を収めるまでには至っていない。

感染症では通常、病原体への感染を通して誘導された免疫応答が、その後の同じ病原体への感染を防いでくれる。しかし、UTI患者ではその逆のことが頻繁に生じ、原因菌への感染自体が再発率を高める。Abraham氏らは最近の研究で、大腸菌に感染したマウスの膀胱内での免疫応答が、Th2細胞(2型ヘルパーT細胞)をベースにした免疫応答に偏っていることを突き止めていた。この免疫応答では、主に感染組織の修復が行われて病原菌の排除が十分に行われず、その結果、UTIの再発につながると考えられた。そこで同氏らは今回、免疫応答をTh1細胞(1型ヘルパーT細胞)へ偏向させる免疫増強剤(アジュバント)を含んだワクチンの接種により、よりバランスのとれた免疫応答をマウスで誘導できるか否かを検証した。

ワクチン投与は、大腸菌が残存する膀胱への直接投与、あるいは通常の皮下注射により行った。その結果、ワクチンを膀胱へ直接投与したマウスでは、皮下注射で接種したマウスに比べて、Th1細胞の動員が促進され、膀胱内の残存細菌が完全に除去されただけでなく、UTIの再発防御効果も高いことが示された。

研究論文の筆頭著者であるJianxuan Wu氏は、「この新たなワクチン戦略は、細菌をもっと効果的に撃退するよう膀胱に"教える"ことを試みるものだ」と述べている。一方、Abraham氏は、「このワクチンは、膀胱に残存する細菌を死滅させるだけでなく、その後の感染も予防するという、極めて効果の高いものである可能性が示された」と結論付けている。研究チームはさらに、ワクチンを注射する部位が有効性に関わる重要な因子である可能性があるとの見方も示している。

ただし、動物を用いた研究結果と同じ結果が、ヒトを対象にした試験でも得られるとは限らない。Abraham氏は、「ワクチンの個々の成分は、既にヒトに使用しても安全であることが明らかにされている。それゆえ、この有望な知見の妥当性を確認する臨床試験は、比較的迅速に実施できるだろう」との見通しを示している。(HealthDay News 2021年3月5日)

https://consumer.healthday.com/b-3-5-a-vaccine-aga...

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