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“健康的な肥満”はあり得ない

obese man weighs himself

肥満ではあるが検査値上の異常はない場合、「代謝的に健康な肥満」と言われることがある。しかし、「健康的な肥満などはない」とする論文が「Diabetologia」に6月10日掲載された。英グラスゴー大学健康福祉研究所のFrederick Ho氏らの研究によるもの。

Ho氏は、「肥満者の代謝関連検査値が基準値内にあるとしても、それはその人が実際に健康であることを意味するわけではない。なぜならそのような人たちは、糖尿病、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患のリスクが高いからだ」と述べている。そして、「誤解を招きかねない『代謝的に健康な肥満』という用語は、臨床医学では用いるべきではない」と提言している。

Ho氏らの研究は、英国の大規模ヘルスケア情報ベース「UKバイオバンク」の登録者から、解析に必要なデータがそろっている38万1,363人を抽出し、住民ベースの前向きコホート研究として行われた。ベースライン時のBMIが30以上で肥満に該当するものの、6つの代謝関連指標(中性脂肪、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、HbA1c、C反応性蛋白、血圧)のうち4つ以上が基準値内の人を「代謝的に健康な肥満」と定義。11.2年(中央値)追跡して、2型糖尿病や心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の発症、アテローム性動脈硬化症による非致死性/致死性心血管イベント、全死亡のリスクを検討した。

ベースライン時に肥満でなかった人(代謝的に健康な人と不健康な人の双方)に比較して、代謝的に健康な肥満者は、心不全〔ハザード比(HR)1.60(95%信頼区間1.45~1.75)〕、呼吸器疾患〔HR1.20(同1.16~1.25)〕の発症、および全死亡〔HR1.12(同1.04~1.21)〕、心不全死〔HR1.44(同1.09~1.89)〕が有意に多かった。心血管イベントの発生率は有意差がなかった。

比較対照を、ベースライン時に肥満でなく、かつ代謝的に健康な人に限ると、2型糖尿病〔HR4.32(同3.83~4.89)〕、心不全〔HR1.76(同1.61~1.92)〕、呼吸器疾患〔HR1.28(同1.24~1.33)〕の発症、および全死亡〔HR1.22(同1.14~1.31)〕、心血管イベント〔HR1.18(同1.10~1.27)〕の発生率が有意に高かった。

BMIと代謝関連指標の変化を縦断的に解析し得た8,521人のデータ(追跡期間中央値4.4年)から、ベースライン時に代謝的に健康な肥満者の4分の1強が、代謝的に不健康な肥満に移行していたことが分かった。その他、約半数は変化がなく、約20%は非肥満になっていた。

著者らは、「代謝的に健康とされる肥満者であっても、代謝的に健康な非肥満者と比較して、心臓発作や脳卒中、心不全、呼吸器疾患のリスクが高いことから、『健康』とは言えない。代謝関連指標が良好か否かにかかわらず、減量は全ての肥満者にとって有益な可能性がある」と述べている。

なお、世界の肥満人口は現在3億人以上とされており、最近の増加傾向が続くとすると、2030年までに肥満者が10億人を超えると予測されている。これは世界の成人人口の20%に相当する。(HealthDay News 2021年6月11日)

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