1型糖尿病患児へのパンデミックの影響をテクノロジーが抑制

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが1型糖尿病の子どもたちの治療に及ぼす影響が、ハイテク医療機器などのテクノロジーによって緩和された実態が報告された。米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのAbha Choudhary氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Pediatrics」に3月10日掲載された。

COVID-19パンデミックやそれに伴うロックダウンは、ヘルスケアの混乱を引き起こした。1型糖尿病患者は生存のために毎日の治療継続が不可欠であり、ヘルスケアの混乱による疾患管理への影響が大きい。これに対して、糖尿病医療の現場では、連続血糖測定システム(CGM)や遠隔医療などの新しいテクノロジーの駆使によって、パンデミックの影響を抑制する努力がなされた。Choudhary氏はテキサス大学発のリリースの中で、「われわれのチームは、多くの患者にCGMによる血糖変動のモニタリングを実施した。この措置は、パンデミックがもたらした問題の一部を抑制した可能性がある」と述べている。

Choudhary氏らは、1型糖尿病の子どもたちがパンデミックの1年目にどのような影響を受けたかを把握するために、米ダラス小児医療センターに記録のある1型糖尿病患児、約1,600人のデータを解析。パンデミックの前後で、HbA1cなどの検査指標が変化したかを検討した。解析対象者の主な特徴は、平均年齢13.8±3.6歳、男児52.8%で、人種/民族は53.3%が白人、22.3%がヒスパニック系、17.7%が黒人であり、60.3%は民間保険に加入していた。

解析の結果、2019年と2020年とで、HbA1cや入院の頻度、および、うつレベル(PHQ-9スコア)に有意な変化は認められなかった。著者らは論文の結論で、「CGM施行患児を増やしたことと、遠隔医療を拡充したことで、パンデミックによる疾病管理への影響を抑制し得た可能性がある」とまとめている。

しかしこの研究によって、マイノリティーと低所得者では、以前から存在していた格差がパンデミック中も継続していることが明らかになった。具体的には、黒人やヒスパニック系の子ども、および民間保険に加入していない子どもは、白人や民間保険に加入している子どもに比べて、HbA1cが有意に高く入院率も高かった。

HbA1cが高いことは、民間保険に非加入、ヒスパニック系または黒人、CGM不使用と、有意な関連が認められた(いずれもP<0.0001)。また、CGMの使用時間は全体で2019年より2020年の方が有意に長く(P=0.04)、パンデミック中の血糖管理に寄与したと考えられた。一方で、民間保険に非加入(P<0.0001)や黒人(P<0.0001)、ヒスパニック系(P=0.03)は、CGM使用時間が有意に短かった。なお、PHQ-9スコアの高さとの有意な関連因子は、性別(女児)のみだった(P<0.0001)。

Choudhary氏は、「パンデミック初期の数カ月の間に、われわれはいくつかの進歩を成し遂げた。しかしそれに使われた医療ツールへのアクセスに関して、大きな格差が残されている」と述べている。また同氏は、「糖尿病の最新治療の中核を成すテクノロジーの利用格差を解消するための行動は、まだほんの緒についた段階にすぎない」と付け加えている。(HealthDay News 2022年6月7日)

https://consumer.healthday.com/b-6-3-technology-helped-kids-with-type-1-diabetes-get-through-pandemic-2657430583.html

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