breast cancer survivors
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標準治療の化学療法に免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)を追加することで、進行が速く治療が難しいタイプの乳がんである進行トリプルネガティブ乳がん患者の生存期間が延長したとする臨床試験の結果が明らかになった。国際乳がんセンター(スペイン)のJavier Cortés氏らが実施した同試験の結果は、「The New England Journal of Medicine」7月21日号に発表された。

米国がん協会(ACS)によると、全ての乳がんの約10~15%をトリプルネガティブ乳がんが占めているという。トリプルネガティブ乳がんの名は、がん細胞の表面に2つのホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)とHER-2と呼ばれるタンパク質が存在しないことに由来する。乳がん治療に広く使用されているホルモン療法やHER-2標的薬はトリプルネガティブ乳がんには効果がないため、この乳がんの治療選択肢は限られており、手術と化学療法を中心とした治療が行われてきた。

しかし近年、トリプルネガティブ乳がんの治療は変わりつつある。米食品医薬品局(FDA)は2020年、キイトルーダを転移のある進行トリプルネガティブ乳がんの治療薬として承認。その1年後には同薬を、再発リスクの高い早期のトリプルネガティブ乳がんの治療薬として承認した。

今回の臨床試験では、進行トリプルネガティブ乳がん患者847人のうち566人を化学療法に加えてキイトルーダ(200mg)を3週間ごとに投与する群に、281人を化学療法に加えてプラセボを投与する群にランダムに割り付けた。対象者の38.1%は、PD-L1陽性の腫瘍細胞や免疫細胞が全腫瘍細胞の中に占める割合を算出するスコア(combined positive score;CPS)が10点以上のPD-L1高発現患者であった。キイトルーダは最大で35回にわたって投与された。追跡期間は中央値で44.1カ月であった。

その結果、CPSスコアが10点以上のPD-L1高発現患者の全生存期間の中央値は、キイトルーダを投与された患者で23.0カ月だったのに対して、プラセボを投与された患者では16.1カ月であり(ハザード比0.73、95%信頼区間0.55〜0.95)、全生存期間は前者で有意に長かった。これに対して、CPSスコアが1点以上だった患者の全生存期間の中央値は、キイトルーダを投与された患者で17.6カ月だったのに対して、プラセボを投与された患者では16.0カ月であり(同0.86、0.72〜1.04)、両群間で有意差は認められなかった。

この結果についてCortés氏は、「医師がキイトルーダによるベネフィットを得られる可能性が高い患者を特定するためにPD-L1のスコアを用いるべきことを示したものだ」と説明。その上で、「PD-L1の発現量が多い患者に対する治療では、化学療法とキイトルーダの併用を標準治療とするべきだ」との見解を示している。ただし、同氏は早期トリプルネガティブ乳がんの治療ではPD-L1の発現量は重要ではないと付言している。

一方、今回の臨床試験には関与していない、米M.D.アンダーソンがんセンターの乳がん専門医であるNaoto Ueno氏は、「キイトルーダによってトリプルネガティブ乳がんを制御できることは分かっていたが、この臨床試験によって、全生存期間の延長も期待できることが証明された」と話している。

Ueno氏もまた、「進行トリプルネガティブ乳がんの治療ではPD-L1のスコアを用いるべきだ」との見解を示し、既に同スコアは使用されていると説明。「したがって、今回の臨床試験の結果から、われわれが現在やっていることが変わることはないだろう」と話している。(HealthDay News 2022年7月21日)

https://consumer.healthday.com/breast-cancer-treatment-2657679043.html

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