ICU入室の新型コロナ患者の家族の多くにPTSD症状

Nurse preparing oxygen mask for patient in critical state covid hospital
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが始まってから間もない頃に、COVID-19に罹患して集中治療室(ICU)での治療を受けた患者の家族の多くに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が確認されたとする研究結果が報告された。患者のICU入室から3カ月後の時点の調査で、家族の10人中6人にPTSDの症状があったほか、最長で6カ月後の時点でも、家族のほぼ半数がPTSDの症状を抱えており、不安や抑うつのリスクも比較的高い状態にあったことが示されたという。この研究結果は、米コロラド大学医学部のTimothy Amass氏らにより、「JAMA Internal Medicine」に4月25日発表された。

この研究では、2020年2月1日から7月31日の間にCOVID-19が原因でICUに入室した患者の家族330人が対象とされた。対象者の平均年齢は51.2歳で、228人(69.1%)が女性だった。また、人種は約半数(52.8%)を白人、民族は29.8%をヒスパニック系が占めていた。患者との関係については、40.6%が患者の子ども、25.5%が患者の配偶者またはパートナーだった。

全対象者は、患者のICU入室から3〜4カ月後にPTSDの症状をスクリーニングするための標準化された電話調査に回答した。PTSDの症状は、出来事インパクト尺度(IES-r)から6項目を抽出した簡易版(IES-6)を用いて評価し、スコア10点以上をPTSDの症状ありとみなした。対象者はまた、抑うつや不安の症状の有無を評価する調査にも回答した。一部の対象者(155人)は、約6カ月後の再調査にも回答した。

その結果、IES-6での評価によりPTSDの症状ありと判定された家族の割合は、患者のICU入室から3カ月後の時点で63.6%(201/316人)、6カ月後の時点で48.4%(75/155人)であることが明らかになった。また、抑うつの症状ありと判定された家族の割合は、3カ月後の時点で31.0%(97/314人)、6カ月後の時点で25.2%(39/155人)、不安の症状ありと判定された家族の割合は、3カ月後の時点で44.9%(141/314人)、6カ月後の時点で34.4%(53/154人)であった。さらに、ヒスパニック系や女性、精神疾患の診断歴を持つ人、学歴が低い人では、IES-6スコアが高い傾向が強いことも示された。

Amass氏らによると、原因を問わずICUに入室した患者の家族がPTSDを発症する割合は、通常15~30%程度であるという。そのため同氏は、「COVID-19によるICU入室患者の家族の間でPTSDの症状を持つ人がいかに多いかが分かり、驚いた」と話す。

この研究ではまた、ICUに入室した患者の家族の主なストレス要因が、患者のそばにいることを許さない病院の規則にあることも示唆された。Amass氏は、「そのことが家族の治療に対する不信感や、治療に関する情報だけが与えられる状況に対するフラストレーションを増大させた」と指摘する。

この研究には関与していない米ニューヨーク市の脳・行動学研究財団の理事長でCEOでもあるJeffrey Borenstein氏は、「パンデミックで多くの人々がCOVID-19によって命を奪われていた時期に親族がICUで治療を受けるという経験は、非常にストレスフルだったはずだ。その上、仕方のないこととはいえ面会が制限されたことで、患者の家族はさらに大きな衝撃を受けることになった」と説明している。

その上でBorenstein氏は、「強いストレスに曝されているときは、友人や家族、必要であれば専門家のサポートを利用すべきだ。また、PTSDの症状が現れているときには、黙って苦しむのではなく、専門家に助けを求めるべきだ」と話している。(HealthDay News 2022年4月26日)

https://consumer.healthday.com/covid-ptsd-2657194118.html

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