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交通事故の3割にドライバーの意識レベル低下が関与か――日本医大

交通事故の3割にドライバーの意識レベル低下が関与か――日本医大

救急治療を要する負傷者が発生した交通事故の約3割に、運転中のドライバーの意識レベル低下が関与していた可能性が報告された。日本医科大学千葉北総病院ショック・外傷センターの小田有哉氏(現在の所属は神栖済生会病院)らの研究によるもので、詳細は「Acute Medicine and Surgery」に5月1日掲載された。意識レベル低下と関連する因子としては、過去の単独事故の履歴や高血圧などが有意である一方、年齢や性別は有意でないという。

自動車運転中の意識レベル低下は、重大な交通事故につながりかねない。商用車に関してはドライバーの健康上の問題による事故が年間300件程度発生しているとの報告があるが、自家用車の事故とドライバーの健康問題の関連はあまり研究されておらず、運転中の意識レベル低下の事故への影響はほとんど分かっていない。そこで小田氏らは、交通事故による外傷のため同センターへ救急搬送されたドライバーを対象に以下の検討を行った。

2018年1年間の同センターの受け入れ患者2,721人のうち、自分が運転中の交通事故で搬送された患者の中から、死亡者や事故の詳細が不明の患者を除外し、193人を解析対象とした。ドライブレコーダーの画像、本人や同乗者または目撃者へのインタビューをもとに、58件が運転中の意識レベル低下が関与した事故と判定された。なお、同センターの受療歴があり、意識レベル低下の既往が複数の医師によって確認されている場合もこれに含めた。

意識レベル低下が関与した事故と関与していない事故とでドライバーを比較すると、年齢や性別、重症度などには有意差がなかった。また、既往症のうち、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患の有病率、および透析患者の割合は群間に有意差がなかった。糖尿病については、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーで有病率がやや高かったが、群間差は統計的有意レベル未満だった(P=0.055)。

一方、過去の単独事故や、てんかん、高血圧、および精神障害の有病率は、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーの方が有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果、過去の単独事故〔オッズ比(OR)3.59、95%信頼区間1.76~7.34、P<0.001〕、高血圧(OR2.64、同1.13~6.15、P=0.0248)、精神障害(OR3.49、同1.08~11.3、P=0.0370)が有意な因子として抽出された。てんかんについては有意性が消失した。

なお、ドライバー本人や目撃者の情報および検査所見から意識レベル低下の原因を推測すると、32.8%が居眠り、19.0%が急性アルコール中毒、13.8%が不明で、疾患関連では不整脈10.3%、感染症8.6%、てんかん6.9%などが上位を占めた。

以上の結果について著者らは、「交通事故の前にドライバーの30.1%が意識レベルの低下を来していた。単独事故の履歴および高血圧と精神障害は、事故につながる意識レベルの低下に関連する因子だった」とまとめている。なお、高血圧と意識レベル低下との関連の背景について、高血圧患者は睡眠時無呼吸を併存していることが多く、その影響が考えられるとしている。また精神障害については、抗精神病薬の副作用の関与の可能性を指摘している。(HealthDay News 2021年6月7日)

Abstract/Full Text

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ams2.649

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