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口の中の健康状態が悪いと認知症医療費がかさむ――三重県での調査

口の中の健康状態が悪いと認知症医療費がかさむ――三重県での調査

歯の本数や歯周病の重症度が認知症の医療費と有意に関連することが、日本人対象の研究から明らかになった。愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の嶋﨑義浩氏らが、三重県在住高齢者の医療データを解析した結果であり、詳細は「American Journal of Alzheimer's Disease and Other Dementias」に2月25日掲載された。

認知症は世界的に増加しており、医療・福祉財政の負担が問題になりつつある。一方、口腔健康状態が認知症リスクと関連することが、近年注目されている。しかし、医療費の視点から両者の関係を検討した研究は見られない。

嶋﨑氏らは、三重県の後期高齢者医療制度のデータを用いて、三重県歯科医師会が行った歯科検診の結果と認知症医療費との関連を検討した。口腔健康状態は、歯の本数、歯周病の重症度(Community Periodontal Index;CPI)で評価した。医療費は、2015年4月~2019年3月の4年における、主病名が認知症であった患者の各医療機関での医療費の合計金額とした。その他、アンケートにより、喫煙習慣、BMI、既往疾患(脳卒中、心血管疾患、糖尿病)を把握した。

2014年度に歯科検診を受診した人は4,984人で、そのうち同年度内に認知症治療を受けず、かつ2019年3月まで生存していた4,275人(75歳が2,573人、80歳が1,702人)を解析対象とした。4年間の追跡中、201人が新たに認知症の治療を受けていた。

認知症の人の医療費について、まず残っている歯の本数で比較すると、20本以上ある人に対して、9本以下の人の認知症医療費比は3.79倍であり、有意に高額だった(P=0.006)。また、CPIが0~2(歯周病なし~歯科検診時の歯肉出血または歯石のみ)の人に対して、CPIが4(6 mm以上の歯周ポケット)の人の医療費比は4.04倍高額だった(P=0.009)。なお、歯の本数が10~19本の場合やCPIが3(4~5 mmの歯周ポケット)の場合の医療費は、対照群と有意差がなかった。

この関連は、医療費に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、現在の喫煙習慣、BMI、および疾患既往歴)の影響を統計学的に調整後にも、引き続き有意だった。具体的には、歯が20本以上ある人に対して9本以下の人では4.13倍(95%信頼区間1.79~9.56)、CPI0~2の人に対してCPI4の人では3.48倍(同1.71~7.08)高額だった(いずれもP=0.001)。

著者らは、本研究の解析対象が歯科検診受診者であるため、口腔衛生への意識が高い人が多いという選択バイアスが存在する可能性があるとしている。実際に本研究の参加者の口腔衛生状態は、同年齢の一般住民に比較して良好だったという。また、BMIが本人の申告によるため正確とは言えないことや、他の交絡因子の影響が調整できていないことも、解釈上の注意点としている。

これらの限界点を挙げた上で、著者らは「口腔健康状態は、認知症の医療費と有意に関連している。歯の喪失を防ぎ、健康な歯周状態を維持することは、医療費の抑制につながる可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2021年3月29日)

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Consumer Japanese