糖尿病とCOVID-19重症化の関連は過剰炎症が媒介

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糖尿病患者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時の重症化リスクが高いことは、パンデミック当初から指摘されているが、そのメカニズムはいまだ明確でない。そうした中、糖尿病患者のCOVID-19重症化には、過剰な炎症反応が大きく関与しているとする研究結果が、「Diabetes Care」3月号に掲載された。米ミシガン大学アナーバー校のAlexi Vasbinder氏らが報告した。

Vasbinder氏らの研究は、COVID-19と炎症に関する国際多施設共同研究(ISIC研究)のデータを用いて行われた。2020年2月1日~2021年6月1日にCOVID-19のため入院治療を受けた2,044人(平均年齢60±16歳、女性42%)のうち、33.6%が糖尿病患者だった。糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて、高齢で(64対58歳)、BMI高値であり(33対31)、黒人が多く(27.6対16.9%)、高血圧、冠状動脈疾患、心不全、慢性腎臓病などの併存疾患有病率が高かった(いずれもP<0.001)。

主要評価項目を、院内死亡、人工呼吸管理または腎代替療法を必要とする状態への進行で構成される複合エンドポイントとして、糖代謝関連指標や炎症関連マーカーとの関係を検討した。炎症関連マーカーについては、可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体(suPAR)、CRP、LDH、IL-6、プロカルシトニン、フェリチン、D-ダイマーを評価した。

入院時点の炎症関連マーカーは、suPAR、CRP、プロカルシトニン、D-ダイマーについては糖尿病群の方が有意に高く、LDH、IL-6、フェリチンについては非糖尿病群と有意差がなかった。多変量解析の結果、suPARのみが糖尿病の存在と独立して関連していた〔β=0.10(95%信頼区間0.05~0.15)〕。

複合エンドポイント発生率は31.7%だった(院内死亡14.1%、人工呼吸管理26.9%、腎代替療法8.9%)。糖尿病群はエンドポイント発生率が有意に高値であり(37.8対28.8%、P<0.001)、重症化リスクが高いことが確認された。さらに、多変量解析にて、年齢、性別、BMI、人種、高血圧、冠状動脈疾患、心不全、eGFRなどを調整後もなお群間差は有意であった〔調整オッズ比(aOR)1.23(95%信頼区間1.00~1.52)〕。

ところが調整因子にsuPARを加えると、群間差の有意性が消失した〔aOR1.03(同0.78~1.37)〕。複合エンドポイントの構成因子を個別に検討した結果からも、同様の関係が認められた。媒介分析により、糖尿病と重症化リスクとの関連の84.2%をsuPARで説明可能であることが分かった。

一方、糖代謝関連指標の中では、血糖値の変動とインスリン投与量が複合エンドポイント発生率と独立して関連していた。具体的には、血糖値の変動係数(CV)が10%大きいごとにaOR1.30(95%信頼区間1.11~1.54)、インスリン投与量が0.1単位/kg/日多いごとにaOR1.18(同1.11~1.25)だった。調整因子にsuPARやステロイド使用を追加しても、結果は大きく変わらなかった。

以上より、糖尿病患者の血糖変動やインスリン投与量がCOVID-19重症化に関連しているものの、それら自体は過剰炎症とは関連がなく、一方で、糖尿病とCOVID-19重症化との関連はsuPARによって把握される過剰炎症が媒介していることが示唆された。著者らは、「suPARと血糖変動が、糖尿病患者のCOVID-19重症化予防のための治療標的であるかどうかの判断には、さらなる研究が必要とされる」と述べている。

なお、一部の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。また、1人の著者は、suPARに関する特許の発明者である。(HealthDay News 2022年4月13日)

https://consumer.healthday.com/link-between-dm-covid-outcomes-mediated-by-hyperinflammation-2657129181.html

Abstract/Full Text

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