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モノクローナル抗体の単回注射で膝関節置換術後の血栓リスクが低下

モノクローナル抗体の単回注射で膝関節置換術後の血栓リスクが低下

人工膝関節置換術(TKA)には、術後に厄介な血栓リスクがつきまとう。そのため、多くの患者は、術後、抗凝固薬を毎日服用する必要がある。しかし、アベラシマブと呼ばれるモノクローナル抗体を術後に1回注射するだけで、TKA患者での血栓リスクが大幅に低下する可能性のあることが、新たな研究により明らかになった。マクマスター大学(カナダ)のJeffrey Weitz氏らによるこの研究結果は、国際血栓止血学会(ISTH 21、7月17〜21日、オンライン開催)で発表されるとともに、論文が、「The New England Journal of Medicine」に7月19日掲載された。

TKA後の静脈血栓塞栓症の発症には、凝固第XI因子と呼ばれる血液凝固因子の関与が示唆されているが、その機序は明確に分かっていない。モノクローナル抗体のアベラシマブは、活性型、または非活性型の凝固第XI因子に結合してその活性化や活動を阻むことで、血栓形成を阻止する。

Weitz氏らは今回、TKAを受ける予定のあった412人の患者を、アベラシマブを術後に1回静脈注射する群と、抗凝固薬のエノキサパリンナトリウム(商品名ロベノックス、日本での商品名クレキサン、以下エノキサパリン)を1日に1回、40mg皮下注射する群(101人)にランダムに割り付けた。アベラシマブの投与量は、30mg(102人)、75mg(99人)、150mg(98人)の3種類とした。有効性の主要評価項目は、静脈造影検査で検出された、または症状から客観的に確認された静脈血栓塞栓症、安全性の主要評価項目は、術後30日までの大出血、または臨床的に問題となる小出血の複合エンドポイントとした。

静脈血栓塞栓症が生じた患者の割合は、アベラシマブの30mg投与で13%(13人)、75mg投与で5%(5人)、150mg投与で4%(4人)、エノキサパリン投与では22%(22人)であり、エノキサパリン投与と比べて、アベラシマブの単回投与は、術後の血栓リスクを最大約80%減少させることが明らかになった。一方、安全性に関しては、アベラシマブの30mg投与と75mg投与の患者の2%ずつに出血が生じたが、アベラシマブ150mgまたはエノキサパリン投与を受けた患者では出血は生じなかった。

こうした結果を受けてWeitz氏は、「術後のアベラシマブの単回注射により、現在の標準治療の1つであるエノキサパリンと比べて、脚部の深部静脈血栓症(DVT)に対してはるかに優れた予防効果を得られることが明らかになった」と述べている。

今回の研究には関与していない、米レノックス・ヒル病院の外科医であるJeffrey Schildhorn氏は、「アベラシマブは、抗血栓薬として見込みのあることがこの研究により明らかになった。また、この薬剤は、TKAだけでなく、骨折治療にも適用できる可能性がある。今後の研究に期待している」と述べている。

その一方でSchildhorn氏は、アベラシマブの投与により大出血が生じた場合について、疑問を呈する。「大出血が生じた場合、どの薬剤を使えばアベラシマブの抗凝固効果を抑えることができるのか。また、効果が弱まるのに要する時間はどの程度なのか。こうした疑問点を今後の研究で明らかにしていく必要がある」と強調している。

Weitz氏は、「今回の研究結果から、アベラシマブが、心房細動患者における脳卒中予防と、がん患者におけるDVTや肺塞栓症の治療にも役立つ可能性が見えてきた」と話している。(HealthDay News 2021年7月20日)

https://consumer.healthday.com/sb-7-20-new-blood-t...

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