コロナワクチンの感染予防効果は半年で大きく低下

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンによる感染予防効果は、接種後の時間経過に伴い低下することがこれまでにも報告されているが、その変化を詳細に検討した、イスラエルとカタール発の2報の論文が、「The New England Journal of Medicine」に10月6日掲載された。

この2報の論文は、いずれも米ファイザー社製「BNT162b2Covid-19」に関する研究の結果であり、ともに接種半年後に感染予防効果が大きく低下する可能性を示している。ただしこれには、ワクチン接種を受けた人の行動が接種を受ける前から変化し、感染予防対策がおろそかになった影響も考えられるとのことだ。また、重症化予防効果は引き続き高く維持されているという。

イスラエルで行われた研究は、シェバ・メディカルセンターのEinav G. Levin氏らの研究グループが実施した。同国は早い段階でワクチンの大規模接種が開始され、一時は患者数が減少していたが再び増加しつつある。これがワクチン接種後の効果減弱によるものかどうかを明らかにするため、ワクチン接種後のIgG抗体レベルおよび中和抗体レベルの変化を追跡する前向き研究を実施した。

研究対象は4,868人で全て医療従事者。このうち、接種から6カ月間にわたる抗体レベルの記録のあった3,808人を解析対象とした。統計解析の結果、ワクチン接種後にIgG抗体レベルは一定のペースで低下し、中和抗体レベルは接種後3カ月間に急速に低下した後、比較的緩徐に低下していた。

2回目のワクチン接種から6カ月後の中和抗体レベル低下に関連する背景因子を検討すると、男性〔女性に対する平均力価比が0.64(95%信頼区間0.55~0.75)〕、高齢者〔18~45歳未満に対して65歳以上は0.58(同0.48~0.70)〕、および免疫抑制状態〔該当なしに比し0.30(同0.20~0.46)〕では、特に大きな低下が観察された。

カタール発の研究は、ワイルコーネル医科大学のHiam Chemaitelly氏らの研究グループが行った、一般住民を対象とする研究。ワクチンの有効率は、初回投与後の13日までは有意でなく、14日以降は36.8%であり、2回目を接種した1カ月後に77.5%(同76.4~78.6)とピークに達していた。その後は徐々に低下して4カ月目以降は低下速度が加速。5~7カ月経過時点の有効率は20%ほどに低下していた。

症候性感染に対する有効率は、無症候性感染に対する有効率よりも高かった。ただし、接種後の時間経過に伴い有効率が低下する点は同様。また、変異株に対する有効率もやはり、時間経過とともに低下していた。一方、重症化(入院と死亡)予防の有効性は、2回目を接種した1カ月後は96.0%に達し、2カ月後も96.8%、3カ月後94.3%と維持され、さらに6カ月後にも88.9%だった。

これら2報の研究報告から、ワクチン接種を完全に終了した人も、感染予防対策を続ける必要のあることが明らかになった。なお、カタール発の論文の著者らは、「ワクチン接種を受けた人は接種を受けていない人よりも社会的接触の割合が高く、安全対策への順守レベルが低下する可能性がある。このような行動の変化が、ワクチンの有効率低下の一部を説明し得るかもしれない」との考察を加えている。

両論文ともに一部の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年10月8日)

https://consumer.healthday.com/studies-show-waning-of-bnt126b2-vaccine-protection-2655247574.html

Abstract/Full Text - Chemaitelly

Abstract/Full Text - Levin

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