紙巻きタバコと電子タバコを併用しても心臓にメリットなし

Close-up - young female vaping e-cigarette
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電子タバコは禁煙のための手段として使用されることがある。しかし、紙巻きタバコと電子タバコの併用により、紙巻きタバコだけを使用した場合と比べて心臓の健康に及ぼす影響が軽減されるわけではないことが、新たな研究で示された。米ボストン大学のJonathan Berlowitz氏らが実施したこの研究の詳細は、「Circulation」に5月6日掲載された。

電子タバコは通常の紙巻きタバコよりも安全であり、電子タバコだけを使用している人では心血管疾患(CVD)の発症例も少ないことが盛んに宣伝されている。しかし、Berlowitz氏らによると、現状では電子タバコによる問題の報告件数が少なすぎるため、紙巻きタバコよりも電子タバコの方が安全だという最終的な結論を導き出すことはできないという。

今回の研究では、米国で2013年から2019年の間に5回にわたって実施されたタバコと健康に関する全国的な調査であるPopulation Assessment of Tobacco and Health(PATH)試験のデータが用いられた。データから、第二次調査で連絡の取れなかった人やCVD診断歴がある人などを除外した上で、最終的に2万4,027人(50%が35歳未満、女性51%)が解析対象とされた。対象者はタバコの使用状況に基づき、非喫煙者、電子タバコのみの使用者(以下、電子タバコ使用者)、紙巻タバコのみの使用者(以下、紙巻きタバコ使用者)、電子タバコと紙巻きタバコの併用者、の4カテゴリーに分類された。

電子タバコ使用者と、電子タバコと紙巻きタバコの併用者は、非喫煙者に比べて年齢が低かった。35歳未満の人がこれらの群に占める割合は、同順に62%、54%、51%であった。また、試験期間内に冠動脈バイパス術の実施なども含めた全CVDが1,487件生じていた。心筋梗塞・心不全・脳卒中に限った発症件数は519件であった。

解析の結果、電子タバコと紙巻きタバコの併用者では、紙巻きタバコ使用者に比べて全CVDの発症リスク(ハザード比1.01、95%信頼区間0.81〜1.26)と、心筋梗塞・心不全・脳卒中の発症リスク(同0.94、0.65〜1.36)が、有意に低下するわけではないことが示された。また、紙巻きタバコ使用者に比べて、電子タバコ使用者ではCVD発症リスクが30〜40%低かったものの、この関連は全CVDについてのみ有意であった。

Berlowitz氏は、「この結果は、紙巻きタバコと電子タバコを併用しても心血管イベントの発生リスクの低下は見込めず、リスク低下のためには両製品の使用をやめる必要があることを示唆している」と述べている。

米国肺協会(ALA)のスポークスマンを務める米イェール大学のDavid Hill氏は、「この研究結果はかなり本質をついたものだ。本研究では、電子タバコの使用が心臓に保護的に作用するエビデンスは確認されなかった」と話す。同氏は、「禁煙に電子タバコが役立つというエビデンスは弱く、米食品医薬品局(FDA)も禁煙のための手段としての電子タバコの使用を承認していない」と説明した上で、「この研究結果からはっきりと言えることは、大多数のタバコ製品の使用者が、残念ながら、禁煙するのではなく、紙巻きタバコと電子タバコを併用し続けているということだ」と指摘する。

Hill氏によると、電子タバコの問題は、使われ始めてからまだ日が浅いため、長期的な影響が不明であることだという。同氏は、「電子タバコを含め、安全なタバコ製品など存在しない。タバコ製品には中毒性があり、健康に害を及ぼす可能性もある。禁煙を志すのなら、電子タバコよりはるかに良い方法が他にある」と話している。(HealthDay News 2022年5月6日)

https://consumer.healthday.com/vaping-2657256118.html

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