炎症性腸疾患の小児では静脈血栓塞栓症の発症リスクが上昇

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炎症性腸疾患(IBD)の患児では、IBDのない児に比べて静脈血栓塞栓症(VTE)の発症リスクが高いことが、Hospital for Sick Children(カナダ)のM. Ellen Kuenzig氏らが実施したpopulation-basedのコホート研究で明らかになった。詳細は、「Journal of Crohn's & Colitis」に6月27日掲載された。

Kuenzig氏らは、カナダの5つの州(アルバータ州、マニトバ州、ノバスコシア州、オンタリオ州、ケベック州)の保健行政データベースから、検証済みのアルゴリズムを用いて、IBD、すなわちクローン病(CD)もしくは潰瘍性大腸炎(UC)と診断された16歳未満の児3,593人(IBD群)を抽出。これらの患児1人につき、性と年齢をマッチさせた、IBDを有さない児5人を対照として選び出し(対照群;1万6,284人)、IBDの診断から5年以内にVTEを発症する率を比較した。IBD群では、1年以内に発症する率も算出した。

VTEはIBD群で頻繁に生じていた。対照群において診断から5年以内にVTEを発症する率は0.78〔95%信頼区間(CI)同0.35~1.74〕/1万人年であったのに対し、IBD群での1年および5年以内の発症率は、それぞれ81.16(同56.40〜116.80)/1万人年および31.18(同23.69〜41.02)/1万人年に上った。一般化線形混合効果モデルを使用して州単位の5年以内VTE発症率の結果を統合したところ、対照群を1とした場合、IBD群の調整なしの罹患率比(IRR)は38.84(95%CI 16.59~90.93)/1万人年、罹患率差(IRD)は29.59(同20.79〜38.39)/1万人年となった。さらにCox比例ハザードモデルを使って年齢、性別、居住地(都市部か地方か)、近隣の平均所得を調整したが、IBD群の調整ハザード比(HR)は対照群を1として22.91(95%CI 11.50~45.63)となり、やはり高かった。

次に、CD患児とUC患児とに分けて検討したが、5年以内VTE発症率は、それぞれ25.13、49.58で、対照群の0.68、1.17より有意に高かった。さらに5年以内VTE発症につき、UC患児を1として調整なしでCD患児のIRRを求めたところ、0.47(95%CI 0.27~0.83))/1万人年となり、IRDも−26.62(同−47.95〜−5.30)/1万人年となって、CDの方がリスクが低いことが判明した。年齢、性別、居住地(都市部か地方か)、近隣の平均所得で調整しても結果は同様で、UC患児を1とした場合のCD患児の調整HRは0.52(95%CI 0.29~0.94)であった。これらとは別に、深部静脈血栓症(DVT)と肺塞栓症(PE)の発症リスクとIBDとの間にも、同様の有意な関連が認められ、いずれも、調整後の結果も有意であった〔調整HRは、DVTで31.69(同12.31〜81.61)、PEで6.72(同2.10〜21.53)〕。

Kuenzig氏らは、「今後の研究課題は、臨床的、生物学的、また人口動態的な判断基準に基づいてVTEリスクの大きい患児を見つけられるようにすること、またIBD患児にVTEの予防を行う場合のリスクとベネフィットの評価を行うことなどであるが、最終的には、IBD児に対してVTEの予防をどのように行うかに関する臨床診療ガイドラインを策定周知することが目標である」と述べている。

なお、複数の著者が、Abbvie、Janssen、Pfizer、Takeda、GlaxoSmith Kline、Merck、Shire、AbbVie Canada、Janssen Canada、Nestle、Eli Lily、Celgene、Amgen Canada、Bristol Myers Squibb Canada、Sandoz Canada、Roche Canada、Takeda Canada、Guardant Health、Amgen、Lilly、Roche、Merck Canada、Pfizer Canada、Mylan Pharmaceuticals、Medtronic Canada、Boeringher Ingelheim、Hoffman La-Roche Limited、Peabody & Arnold LLPとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年7月27日)

https://consumer.healthday.com/vte-risk-up-for-chi...

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